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泣けるBL漫画「ラムスプリンガの情景」(吾妻香夜)ネタバレ感想【アーミッシュとは?】

ラムスプリンガの情景

吾妻香夜先生の傑作「ラムスプリンガの情景」の感想です。

吾妻先生の「桜田先輩改造計画」からの振り幅のすごさに驚かされます。笑

本作は王道ストーリーではあるものの、80年代アメリカの「アーミッシュ」という集団に焦点を当てた異色のボーイズラブ作品です。泣ける名作です!

この作品はこんな人におすすめ
  • 泣けるBL漫画を読みたい
  • ザ・王道のラブストーリーが好き
  • 年下わんこがハレンチお兄さんにメロメロになっていくのが萌える

おすすめ評価

評価基準星評価(5段階)
BL初心者おすすめ★★☆☆☆
エロ・濃厚度★★★★☆
せつない★★★★★
泣ける★★★★★
キュン★★★★★
満足度★★★★★

原作情報

著者吾妻香夜
レーベルChocolat comics
出版社心交社
シリーズ1巻完結※
※スピンオフあり。タイトルは「親愛なるジーンへ」。

ジャンル

  • 外国
  • 時代もの
  • 年の差
  • 男娼
  • 年下攻め
  • わんこ攻め
  • ノンケ攻め
  • 年上受け
  • 黒髪受け
  • ゲイ受け
  • 健気受け
  • 強気受け
  • ピュア
  • せつない
  • あまあま

「ラムスプリンガの情景」の基礎知識

アーミッシュとは?

アーミッシュとは、アメリカ合衆国(中西部やペンシルバニア州)、カナダ(オンタリオ州)に居住するドイツ系移民の宗教集団をいいます。

キリスト教系の宗教集団で、移民当時の生活様式を保持し、農耕や牧畜によって自給自足の生活をしています。

アーミッシュ内の戒律があり、彼らは文明化されたもの(自動車や電話、電気など)は使いません。

また、聖書以外の本を読んではいけないことや、怒ってはいけないなど、独自の掟があります。

ラムスプリンガとは?

アーミッシュの子供が思春期を迎えると、「ラムスプリンガ」という期間が与えられ、親元を離れて暮らすことができます。

この間はアーミッシュの掟から完全に解放され、スマホを使ったり、本を読んだり、お酒を飲んだり、音楽を聞いたり、俗世の人々と同じような快楽を享受することができます。

そして、成人になる(ラムスプリンガを終える)頃、アーミッシュに戻るか、アーミッシュとは完全に縁を切って俗世で暮らすかを選択しなければなりません。

ここからネタバレを含みます。お気をつけください。

「ラムスプリンガの情景」あらすじ・ネタバレ

BLの森blog

80年代のアメリカの小さな街で、オズは酒場のウェイターとして働きながら、プロのダンサーになる夢を追いかけていました。

ある夜、オズはバイト先の酒場のマスターから「ヘンな奴」を追い出すように言われます。

そのヘンな奴はアーミッシュの青年で名前はテオと言い、オズは自分を買いに来た男だと勘違いし、部屋に連れていきます。

しかし、テオはただ酒を飲みたいだけだったようで、キスした後に誤解だったことが判明します。その直後、テオの幼なじみ・ダニーが迎えに来て、村に帰ってしまいます。

しばらく経ったある日、オズは朝食を取るために入ったダイナーでテオと再会します。テオは「ラムスプリンガ」の期間に入り、少しの所持金だけを持ってこの街に来たとのこと。

オズは、世間知らずのテオをほっとけず、色々と世話を焼いてあげるようになります。

世間の冷酷さに慣れているオズの目には、なにも汚れを知らないテオの存在は少し眩しく映っているようで、テオの優しさに触れていく中でオズの何かが変わり始めます。

ある日、テオが「最初のキス」について言及し、オズにドキドキするこの気持ちの正体について恥ずかしがりながらもオズに問いかけます。

オズは「雛鳥の刷り込みと同じで、最初に出会ったのが自分だったからそれに引きずられて勘違いしているだけだ」と言い、テオの頭を冷やそうと口で抜いてあげます。

しかし、それに納得いかないテオは「今晩、抱かせてほしい」と懇願し、オズと一晩を過ごすことに。

激しく抱き合った翌朝、テオは「どうかこの気持ちが勘違いだなんて言わないで」と真摯に告白し、オズはテオの素直な気持ちを受け取りました。

二人の生活は順調で、仲良く暮らしていた矢先、幼なじみのダニーがいきなり訪れ、「テオを村へ連れて帰る」と言い出します。

二人のあまあまえちも最高で、お話の緩急の付け方がすばらしい!信仰や同性愛に厳しい時代背景がある中で、二人が出した決断に涙します!

試し読みはこちら!

「ラムスプリンガの情景」感想・見どころ

BLの森blog

何気なく購入した作品で、読んでみたら大号泣で涙が止まらない。こんなに素晴らしい作品があったのかと感動しました。

漫画って軽視されがちですが、社会の様々なことを学べる素晴らしいツールでもあると思うんですよね。

本作も例外でなく、これがきっかけで「アーミッシュ」のことを知りましたし、80年代のアメリカ社会についても知ることが出来ました。

原作漫画の方の「バナナフィッシュ」もこの年代ですよね。

何度かアメリカに行ったことがあるのですが、空港でたまに出会う「黒いハット帽に髭をたくわえた中世っぽい人たち」は何なのかと思っていたのですが、本作のおかげですべて繋がりました。ありがとうございます。笑

さて、本題の内容ですが、設定は特殊なものの本筋は王道ラブストーリーなので、誰が読んでもお気に入りの一つになると思います。

全体的に物悲しい雰囲気でせつない場面も多いですが、あまあまシーンも多いので、その絶妙な配分が素晴らしいと感じました!

オズのお父さんは戦争で亡くなっていて、お父さんが応援してくれたダンサーの夢も叶わず、オズの過去を知るととても切なくなります。

挙げ句の果て、酒場のウェイターをしながら体を売って生活しているのですから、とても痛々しいです。

世間は冷酷で残酷であることを身をもって体験しているオズからすれば、純真なテオは眩しくて、自分にはないものを持っていて惹かれていきます。

一方、大型わんこのテオは、俗世とは隔絶された村で生活していたので、ラムスプリンガで人々の悪意や憎悪に初めて触れ、「社会」というものを理解していきます。

そんな中、オズという美しい男の子に恋をして、俗世にもっといたいと思うようになります。

テオは図体だけデカい赤ん坊なんですが、オズとの初えちが最高でした!

思春期真っ盛りの元気な男の子なので、精力がすごいんですけど、そういう知識がまったくないので本能でやってる感じがめちゃ萌えます。

あと、オズの首筋にキスマークの跡を見つけて、「嫉妬」という初めての感情にどうしていいかわからなくて、泣きながらキスをせがんでヤリまくるのがめちゃ可愛い♡

オズも絆されに絆されて、結局テオとステディになるのがキュンキュンします!

しかし、ラムスプリンガの終わりとともに、アーミッシュの宿命である選択の時が来てしまいます。

テオは愛を選ぶのか、家族を選ぶのか……この結末に涙します。本当に素晴らしい作品なので、未読の方はぜひ読んでみてくださいね。

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カップリング・登場人物

▼メインカップル

テオドール・サリヴァン(20歳) × オズワルド・カーター(27歳)

テオドール・サリヴァン

アーミッシュの青年。

”村の外”に出たのが初めてなので、お酒の頼み方がわからず酒場で固まっていたところをオズに助けられる。

世間知らずで疑うことを知らない。オズの美しさに魅了され、恋に落ちてしまう。

オズワルド・カーター

元ダンサーで、今はウェイターとして働いている。ゲイの黒髪美人

幼少期からバレエを習っており、プロのダンサーになるのが夢だった。NYで頑張っていたが、オーディションに落ち続け夢を諦める。亡くなった父も応援してくれていた。

ウェイター以外にも男娼として生計を立てている。

▼その他登場人物

ダニー

テオの幼なじみ。「ジーン」の一件があり、テオのことを必要以上に気にかけている。

テオとオズの仲をよく思っていない。

ジーン・ウォーカー

ダニーとテオの幼なじみ。

ラムスプリンガが明けても故郷に帰らず、外の世界で生きると決めた珍しいアーミッシュの青年。昔から物知りで、外の世界に興味を持っていた。

本作のスピンオフ「親愛なるジーンへ」では、ジーンを主人公にその後の人生が描かれている。

親愛なるジーンへ

まとめ

アーミッシュの青年・テオは初めての”外の世界”に、どうしたらいいのかわからず酒場で固まっていたところ、ウェイターで元ダンサーのオズに助けられます。

しかし、オズは自分を”買い”にきた客だと勘違いし、テオとキスまでしてしまいます。

そして、「ラムスプリンガ」の期間に入ったテオはオズと再会し、お互い惹かれあいはじめます。

恋、夢、信仰、家族……何を選んで、何を捨てるのか?「ラムスプリンガ」が終わりを迎え、テオとオズが葛藤する中、二人が出した決断に涙します。

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最後に、BL好きの方にオススメの記事を3つ厳選しました!