今回は秀良子先生の名作中の名作「STAYGOLD」全6巻のネタバレを含むレビューです!
全6巻とBL作品の中でも比較的巻数は多めですが、10年にわたる中山家の軌跡を緻密に描いた余韻を堪能できる作品です。
続編「STAYGOLDそれから。」では、本作に出てきた、中山家の次男コウと10年来の親友の日高との”その後”のストーリーを読むことができます。
本作のメインカップルである駿人と優士もしれっと出てくるので、目が離せません!
- 年の差カップルが好き
- 下剋上、立場逆転に萌える
- 時間経過とともに心情の変化を描く繊細なストーリーが好き
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タップできる目次
「STAYGOLD」おすすめ評価
評価基準 | 星評価(5段階) |
---|---|
BL初心者おすすめ | ★★★★☆ |
エロ・濃厚度 | ★☆☆☆☆ |
キュン | ★★★★☆ |
あまあま | ★★★☆☆ |
切ない | ★★★★★ |
満足度 | ★★★★★ |
「STAYGOLD」基本情報
著者 | 秀良子 |
シリーズ | 全6巻(完結) |
レーベル | on BLUE comics |
出版社 | 祥伝社 |
「STAYGOLD」ジャンル
- 年の差
- ショタ(中学生時代)、10代
- 年下攻め、年上受け
- 執着攻め
- イケメン攻め
- ヤンキー攻め
- 不憫受け
- ほだされ受け
- 黒髪受け
- せつない
- ほのぼの
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「STAYGOLD」あらすじ
ひとつ屋根の下で暴走する片思い 「隙みせたら容赦しねーから覚悟しとけ」 ―両親不在、血は繋がっていたり、いなかったり。ちょっとフクザツなお家事情の中山家は叔父兄弟と甥姪の4人ぐらし。それでも歪な「家族」は、なんとかうまくやってきた。 ―駿人(甥っ子)が優士(叔父)に好きと告げ、キスをするまでは。 13歳のままならない恋心は、大人と子供の境目で、ついに暴走をはじめる。
コミックシーモアより
ここから先はネタバレを含みます。お気をつけください!
「STAYGOLD」おすすめポイント・ネタバレ
物語にそっておすすめポイントを解説します。ネタバレを含むので、お気をつけください。
ステイゴールドの意味
Stay goldを直訳すると、「金色のままでいろ」となりますが、直訳すぎてさすがに変なので、意訳すると「輝き続けろ」になります。
ですが、goldにはもう一つの意味があります。黄金という意味から派生して、黄金の時期である「若さ」「子供」「純粋」「無垢」「初々しさ」というニュアンスも含んでいるんですね。
つまり、Stay gold=「若さを忘れるな」「青春をいつまでも忘れるな」という意味になり、「輝き続けろ」と「若さを忘れるな」という二つの意味を持ち合わせています。
この作品を読み終わった後、若さっていいなぁと思うんですよね。13歳の未熟な心ながらも、確固たる意志を持って、自分の道を進もうとする駿人が眩しすぎるんですよ。若さを忘れるな、輝きつづけろ、とわたしたちに訴えかける、駿人のその姿に感動します。
1巻:13歳、思春期をむかえた駿人の恋が動きだす
優士と同居する甥っ子の駿人は、ある日、金髪に染めて帰ってきます。グレたと思った優士ですが、実は駿人は長い間優士を想い続けていたようで、優士に告白します。
最初は中学生の言葉を本気にせずいましたが、何度も想いを伝えられ、最終的にキスまでしてくるので、優士は動揺します。
そして、優士自身もかつては秘めた恋心を抱いており、それが駿人にも知られていたのだと気づき動揺します。 こうして、甥っ子である駿人が叔父の優士に向ける純粋な恋が動きはじめました。
こんな展開、萌えの予感しかない!駿人の優士に対する射抜くような眼光に期待が膨らみます♡
2巻:優士の気を引くために、駿人が打つ手は?
中学三年生の駿人は受験せず、就職をすることを決めましたが、優士はそれを許しません。結局、コウの友人である日高が家庭教師として勉強を見ることになります。
駿人は優士に好意を寄せていることを日高に打ち明けると、日高がアドバイスくれました。こうして、「押してダメなら引いてみろ」作戦を決行します。
そして、優士は駿人に距離を置かれることに違和感を感じ、駿人が大人になっていく様子に焦りを感じはじめます。
駿人の作戦がちょっとずつ効いているよう。この一筋縄ではいかない展開がすごく良いです。
3巻:奔放な母親の帰郷が嵐をまきおこす
ふたたび駿人が優士に想いを伝えますが、優士はあからさまに拒否し、2人は元の関係に戻ることに。そんな中、駿人の母親である弥生が突然現れます。駿人は子供を置き去りにして、突然家を飛び出した彼女を許せず、妹の菊花も弥生に拒絶反応を示します。
しかし、自分勝手な弥生は、駿人と菊花を自分の家に連れて行くことを提案します。そして、優士は「こういう人だったな」と幼い日の弥生に対する特別な感情を思い出すのでした。
どんな因果か、この母親のせいで優士と駿人は振り回され続けます。弥生とコウの性に奔放な性格は母親から来ているのかも(どっちも母親は同じ)。笑
4巻:コウと日高の関係に変化が訪れ?
4巻は、コウと日高の関係に焦点を当てた物語です。日高は教育実習を終え、コウに会えた喜びと、酔った勢いでキスをします。その後もキスをする仲が続きます。日高は幸せでしたが、欲深くなり、ついに体の関係を持ってしまいます♡
しかし、親友からセフレの関係に変わったことで、関係が危うくなっていきます。2人は大学卒業を控え、それぞれの道を進むことになり、ふたりの関係にも変化が起きはじめます。
こちらのカプはかなり切ないです。特に、日高が不憫すぎて泣けます。
5巻:子供から大人になっていく駿人に、優士は揺れ動く
駿人はテニスの強豪校に進学することに。めきめきと力をつけ、レギュラーで活躍する駿人の成長ぶりに、優士は圧倒されるばかり。
一方、駿人も女の子との恋愛に葛藤しますが、結局付き合うことはできませんでした。
そして、大学進学を当たり前だと思っていた優士は、駿人がアメリカでプロを目指すと告げられ、ショックを受けます。優士と駿人の関係も変化し、激しくざわめく心に優士は戸惑います。
家族のその先にどんな関係を望むのか?優士は初めて「この感情」の正体に向き合います。そんでもって、めちゃ気になるとこで終わるんですよ!笑
6巻(最終巻):この感情につける名前は何なのか?
弱った一面を見せる優士に、ここぞとばかりに駿人がキスします。優士は駿人に対して抱えていた複雑な感情を整理し、ついに駿人の気持ちに応えます。
そして月日が流れ、駿人はプロテニス選手を目指すためにアメリカに渡り、優士とコウは一人暮らしを始めます。しかし、優士は一人暮らしの寂しさや仕事に疲れ、体を壊してしまい…!?
端折った部分がたくさんありますが、とても素晴らしい作品なので、ぜひ読んでみてくださいね!
「STAYGOLD」感想・ネタバレ
いやぁ〜本当に素晴らしい作品です。何回読み返しても、駿人の荒削りだけどひたむきなその想いに心を揺さぶられます。
若さっていいですね。周りに何と思われようが、恐れずに自分の道を突き進めるのが青臭いけど眩しくて、泣きたくなります。
なにより、年の差年下攻めが大好物です!最終巻までどっちがどのポジションかはわからなかったのですが、やっぱりそうですよね〜!!と思い通りの展開でテンションが上がりました!
駿人がめちゃくちゃ良い!!最初は子供らしくて、泣きそうになるのを堪えていたりする場面があるんですが、優士に男として見てもらえるように頑張る姿が男の子なんですよね。
複雑な家庭事情も影響していると思いますが、「隙見せたら容赦しねーから」と優士に宣戦布告するのがいいですね。思春期まっしぐらで、最高にとがってます。でも優士ラブなのが可愛い♡
しかし、子供の成長は早いです。駿人の急激な成長に取り残される自分に焦っていく優士が見てて辛かった。最後なんてほんとに濡れねずみ…。
優士にとって、中山家は自分の存在意義でもあり、一部なんですよね。一人暮らしにより、自分のアイデンティティーが揺らいで、仕事に走った結果、過労で体を壊すという一種の自傷行為をしてしまいます。
優士は素直になれない病にかかってるんですよ。姉の弥生を好きになったばかりに、自分の本音に蓋をして、見ないようにする癖がつきましたね。ほんとどうしようもないこじれたおじになっちゃいました。
自分だけ過去にとらわれて、前に進めずにいる。助けて欲しいけど、自分が一家の支柱として中山家を先導してきただけに弱い部分はなかなか見せられない。
しかし、立派に育った駿人が見事優士を救ってくれました!
最後の、「世界中どこにいても、俺は優士のとこに帰るから」に号泣です。
優士は自分を置いてけぼりにしない絶対の拠り所がほしかったんだよね。やっとその場所が手に入ってよかったね!!泣
家族とは何なのか?愛とは何なのか?いろんなことを考えさせてくれました。
どんな因果か、絶対に報われない相手の子供が自分を救ってくれる運命の人になるなんて。秀先生、よくこんなお話が描けますね。すごすぎです(語彙力w)。
中山家の10年の軌跡を丁寧にかつ繊細に描いた家族の話であり、愛の話です。この作品は何度読み返しても色褪せません。ずっと見続けていたいふたりです。
駿人、優士のためにも“ずっと輝いていて“ね。
続編「STAYGOLDそれから。」について
「STAYGOLD」の続編となる「STAYGOLDそれから。」が連載中です。こちらはコウと日高がメインとなり、セフレ以上に進めなかった、ふたりのその後のお話が描かれています。
日高の長年の片想いがやっと結実したかと思った矢先、思いがけない結末になり、これまでの日高とは全然違う人間になっています。正直、痛々しくて見ていられない…。
そして、本作の駿人と優士がしょっぱなから出てます!!「STAYGOLD」では、がっつりのラブシーンはないんですが、なんと、続編にはがっつり出てて、しかも大人な優士の流れるような所作にグッと胸を掴まれます!!
枯れかけ中年おじの経験の差を見せつけてやりましたよ。
しかも駿人より背が高いのも萌えポイントが高いです。
それなのに受けっていうのがたまらん!
駿人の長年の想いを受け止めて、思う存分ケツで抱いてやってくれ!!
続編「STAY GOLDそれから。」の感想はこちら【ネタバレ注意】
「STAYGOLD」カップリング・登場人物
STAYGOLD(1) 新装版(コミックシーモア)
▼メインカップリング▼
中山駿人(13歳、金髪、甥っ子) × 中山優士(28歳、黒髪、枯れ叔父)
中山駿人
13歳。中学にあがり、急に金髪になる。思春期まっただ中の反抗期。
母親は叔父・優士の義理の姉で、とつぜん蒸発した。それ以来、中山家で生活している。
母親が奔放なせいで、これまでに中山家に何度もお世話になり、そのたびに優士の優しさに触れる。優士が大好き。
中山優士
28歳。フリーの翻訳家。中山家は3人兄弟で、上に姉、下に弟がいる。姉は父親の再婚相手の連れ子。弟は異母兄弟。優士は長男。
両親は仕事で海外にいるので、優士が中山家の支柱となり、みんなの世話を焼いている。姉への積年の想いをこじらせ、恋愛もできない枯れかけの中年おじになる。
▼セカンドカップリング▼
中山コウ(大学生、自由人) × 日高 仁(大学生、一途なゲイ)
中山コウ
大学生。奔放な性格で、常に違う女の子が隣にいる。
ある時、日高と関係を持ってから、たびたびそういうことをする関係に。やり○ん。
日高 仁
大学生。高校時代からのコウの親友。日高はゲイで、ずっとコウのことが好きだった。
念願かなってコウと関係を持つことができたが、社会人になり、すれ違うようになる。ただただ不憫。
▼その他登場人物▼
中山菊花
駿人の妹。兄のことが大好きで、母親がいない中、ふたりで力を合わせて頑張ってきた。
しかし、蒸発した母親が戻ってきた時は、発作を起こし、パニック状態に。素直で可愛い女の子。
まとめ
全6巻で完結の「STAYGOLD」は10年にわたる中山家の軌跡を描いた、家族の物語でもあります。
小さい頃から優士の優しさに触れ、優士のことが好きになっていった駿人。13歳の時、思春期も相まりその想いが爆発しました。
優士も消化しきれない想いを抱えたゆえ、家族に固執するこじれた叔父になりました。そして、そんな優士を救ってくれたのが、まさか想い人の息子だったとは…。
過去の自分にはできなかったことをやってのける駿人に、また優士も眩しく感じたことと思います。ふたりには永遠に輝き続けて欲しいです!
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