もりもより 先生の「君の夜に触れる」の感想です。
「BLアワード2023次に来るBL」第4位を受賞した話題作です。
本作がデビュー作のようですが、画力もすばらしく、細かい心理描写で魅せる素晴らしい作家さんですね。
- 夜明けの腐女子・腐男子さん
- 暗い過去を背負った攻めが、受けの純粋さに救われていく話にグッとくる
- 二人の心を通わせる過程を繊細に描いた作品を読みたい
国内最大級の品揃え「DMMブックス」
おすすめ評価
評価基準 | 星評価(5段階) |
---|---|
BL初心者おすすめ | ★★★☆☆ |
エロ・濃厚度 | ★★☆☆☆ |
せつない | ★★★★★ |
泣ける | ★★★★☆ |
キュン | ★★★★☆ |
満足度 | ★★★★☆ |
原作情報
著者 | もりもより |
レーベル | from RED |
出版社 | シュークリーム |
BLレーベル「from RED」で大人気連載中の「夜明けの唄」のネタバレ感想も紹介しています。
ジャンル
- 裏社会、ヤクザ
- イケメン攻め
- 寡黙攻め
- 健気受け
- 不憫受け
- 黒髪受け
- せつない
- シリアス
- トラウマ
せつなくて泣けるBLコミックも紹介しています。
ここからネタバレを含みます。お気をつけください。
「君の夜に触れる」あらすじ・ネタバレ
父親の殺し屋家業を手伝っている千夏は、父親から”殺し”の依頼が入ったと連絡が入ります。目の下にクマをつくるほど、千夏はあまり睡眠をとれていない様子。
5年前、同じ家業をしていた兄が、自分のミスによりこの世を去ってしまいます。
そのせいで千夏は、殺し屋にも関わらずナイフや銃を持つこともできず、”殺し”ができない殺し屋に……。
その日、街に出かけると、ひったくりの現場に遭遇します。犯人から荷物を奪い返した千夏が被害者の青年の元にいくと、その青年(佳澄)は目が見えないようで、ひったくられた際に杖が折れてたと困っています。
千夏はその青年の顔を見て、兄が亡くなった現場に居合わせた少年だと気づきます。
当時、かろうじて目が見えていた佳澄は、その現場に偶然足を踏み入れてしまい、泣いている千夏を心配して慰めたことがありました。
自分が現場にいたことがバレてしまうのではと内心焦る千夏ですが、佳澄が不自由そうにしているので杖の代わりに家まで送っていきます。
佳澄は老舗旅館の長男で、お礼にと千夏を家にあげます。自分の正体に気づいたら殺すしかない…そう思った千夏は、少し佳澄の出方を伺うことにします。
千夏が部屋にあげてくれた理由を尋ねると「友達になってほしい」と佳澄は恥ずかしそうに言います。あまり人と関わることがなかったようで、また遊びに来てほしいと千夏にお願いします。
千夏は承諾し、たびたび佳澄の家を訪ねるように。その日、佳澄は読み聞かせをしてほしいとイルカの本を読んでもらいます。外の世界に興味津々の佳澄は「いつか海を見てみたい」と話すので、千夏は佳澄を連れて水族館へ行くことに。
とても嬉しそうにはしゃぐ佳澄の瞳は透き通っていて、千夏は「自分とは違う」と感じてしまいます。
ある日、”仕事”を終えた千夏は、夜遅いにも関わらず佳澄に会いに来てしまいます。雨の中、ずぶ濡れの千夏に何か事情があると感じた佳澄は、千夏を部屋にあげます。
そして、佳澄の弟・聡の好意もあり、千夏はその晩泊まることに。話の流れで千夏の兄の話になり、千夏は「自分が殺した」と佳澄の手を押さえて……?
寡黙な殺し屋と純粋無垢な盲目の青年の組み合わせがいいですね。佳澄と交流を続けていくうちに千夏の心に変化が…。傷ついた千夏の心を癒す、佳澄のまっすぐな瞳に涙しました。
「君の夜に触れる」感想・見どころ
BLアワード2023・次に来るBL第4位を受賞されました!おめでとうございます!
デビュー作とは思えないほど、マンガとしての完成度が高い作品だと感じました。
全体的に仄暗い感じが漂っていて、攻めと受けの心の機微を丁寧に描く作品が好きな方には刺さると思いますね。
佳澄のお家が老舗旅館というのもあり、全体的にしっとりしていて雰囲気とマッチしてます。
千夏は重い過去を背負っていて、夜もあまり眠れないせいか目の下のクマがひどいです。
影を存分に含んだ寡黙なイケメンで、黒のタートルネックがよく似合っています。
根は優しいのに殺し屋家業を手伝っているので、良心の呵責でいまにも潰れそうな感じです。
父親が典型的な毒親で、家族内でどんな事情があったのかわかりませんが、千夏には殺し屋は向いていません。
兄も亡くなり、友達を作ることも許されない環境で育ったので、絶望の中生きている感じがします。
そんな中、現れた盲目の青年・佳澄という一筋の光に救われていきます。
佳澄は目が見えないことで、あまり親から大切に扱われず、そんな境遇の中でも明るく振る舞っていてとても健気です。
自分の不遇さを呪うわけでもなく、弟や千夏のことを思いやれるいじらしい青年です。
たぶん、17~20歳くらいなんですが、背が低くて顔が童顔なのもあり、千夏といると小さい子供を連れ歩いているようです。一瞬、ショタ?と思ってしまいました。笑
佳澄の純粋さが千夏にとってすごく眩しくて、心が安らぐ存在なのが伝わります。
だからこそ千夏の中で「兄を殺してしまった自分は佳澄にふさわしくない」と葛藤し、それでも赦されたいと願っているのが切なかったです。
佳澄は基本和装で、小旅行でも二人で浴衣を着たりしていて、全体的にしっとりとした雰囲気です。なんで和装とか浴衣とか畳ってムーディーな雰囲気が漂うんでしょうか?なんかいいですよね?笑
結末はどうなることかと思いましたが、佳澄が千夏を救ってくれました。
なぜ父親はあっさり諦めたのかは疑問が残りますが、二人が幸せに暮らせるようになってよかったです!
「君の夜に触れる」は電子で配信中です。気になる方は、試し読みからどうぞ。
「君の夜に触れる」カップリング・登場人物
君の夜に触れる【単行本版(特典付き)】(DMMブックス)
▼カップリング
榊千夏(人を殺せない殺し屋) × 御縁佳澄(盲目の青年)
榊千夏(さかき ちなつ)
人を殺せない殺し屋。父親の殺し屋家業を手伝わされている。
兄がいたが、仕事中に自分がヘマをしたせいで亡くなってしまう。その自責の念でずっと苦しんでおり、殺し屋なのに”殺し”ができない。
兄が亡くなった現場にたまたま佳澄が迷い込み、泣いていたところを介抱される。
御縁佳澄(みえにし かすみ)
老舗旅館の長男で目が見えない。5年前まで見えていたが、今は強い光を感じるくらいで何も見えない。
人の目を気にする母親のせいで、小さな部屋でほとんどを過ごしてきた。外の世界に興味があり、本を読んでは妄想していた。
5年前に泣いていた小さな男の子が千夏だとは気づかずに友人関係になる。
▼その他登場人物
御縁聡(みえにし さとし)
佳澄の弟。佳澄より背が高く、美人。
家業は弟が継ぐことになり、兄をなにかと気にかけている。
まとめ
殺し屋家業を手伝う千夏は、自分のミスで兄を死なせたことで、銃もナイフも持てなくなり「人を殺せない殺し屋」になります。
そんな絶望の中で生きてきた千夏に偶然の出会いが訪れます。
それは、兄が亡くなった現場に偶然迷い込んできた少年・佳澄との再会でした。
佳澄は完全に目が見えなくなり、親から邪険に扱われる中でも明るく振る舞う健気な青年に成長していました。
そんな”一筋の光”に吸い込まれるように佳澄と交流を続けていく中で、千夏に変化が訪れます。
人を殺せない殺し屋と盲目の青年の孤独な夜を溶かす救済BL「君の夜に触れる」は電子で配信中です。
とても素晴らしい作品なので、気になる方は試し読みしてみてくださいね!
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